“マルシェの朝食”なくしてパリは語れない―旅する料理人とおいしい話 vol.6

朝の風景に浮かぶ、その街の素顔

 

最後にパリを訪れたのは2015年のことだ。日本の梅干しをお洒落なパリっ子たちに広めるイベントでの調理仕事に向かった僕は、レピュブリック駅の近く、パリらしい街並みのなかにある大きなアパートに2週間ほど滞在した。仲間との大所帯な共同生活だった。

 

毎朝、ペンキの剥がれたアンティークの窓から入る日差しで目を覚ます。なぜか起き抜けの日課となっていた、ルームメイトとの“叩いてかぶってジャンケンポン”にハイテンションで興じる僕たち。それを横目に別のルームメイトは焼きたてのクロワッサンやカンパーニュ、バゲットなどを買いに近くのパン屋へ行っていた。

 

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僕はマルシェで買った野菜やベーコンで簡単なスープを作り、炒め物をして朝食を準備する。そうこうしているうちに、身支度を終えた仲間たちがテーブルに集まってくる。昨晩語り尽くせなかった話の続きをしながらみんなで賑やかに朝食をとっていると、まるで学生時代に戻ったよう。やはり大人数の旅は楽しい。

 

休日には朝から電車に乗って遠くの駅まで出かけた。お目当てはパリ最古のマルシェ「アンファン・ルージュ」やアンティーク雑貨が並ぶ蚤の市。

 

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日本ではなかなかお目にかかれないチーズや野菜などを見て回る。そばにある屋外レストランで朝食を取ることも。

 

 

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地元民に紛れてサンドイッチや焼き菓子を食べていると、気分はさながらパリの住人。つい、少しカッコつけて食べていたかもしれない。

 

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旅先で流れる、かけがえのない「かりそめのひと時」

 

街を歩くと、飲食店のテラスでカフェオレや紅茶を飲みながら過ごす人々の姿が目に留まる。映画のワンシーンのように素敵な光景だけど、テラスを見つけるたび「僕もあそこに座りたい」と思いにふけってしまうものだから、なかなか前に進まない。

 

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とはいえ、そんな道草がいろいろなものと出会わせてくれたりもする。話し声がする方に歩みを進めてみると、そこには教会が。偶然出くわしたミサに感動した。カフェの席に座っている時も、何気なく眺めた向こうのテーブルの片付け前のグラスが、なぜか妙にカッコよく見えて気になったり。ふとのぞき込んだ飲食店の窓ガラスには、川沿いを歩いて乱れた自分のボサボサ頭を“見つけて”しまった。

 

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旅の最中、それはそれは楽しかった。

僕は旅が好きだ。その理由はきっと、映画や本と同じ。旅の中で“擬似体験”をしているからだ。パリに行けば、コートの襟を立てた「お洒落なパリっ子」になってサーカスを見に行く。韓国に行けば、「韓国人のシェフです」と言わんばかりに市場で食材をあさり、慣れた素振りで朝食をとる。

 

いままで行ったロンドンやウラジオストク、上海、その他の街ももちろん、これから行く場所も、僕はきっと好きになる。「その国の人ごっこ」をするのが大好きだから。それに加えて、実際に「食べ、触れ、話す」ことで心を揺さぶられる感動は、映画や本でも味わえない。

 

また歩き出せる日がきたら、旅に出かけよう。

それまでは、“STAY HOME”。

皆さんには、おうちで楽しめる「パリの朝食レシピ」をお届けします。

 

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【マルシェの朝食 スクランブルエッグとクロワッサン】

材料:2人分 調理時間:●●分

 

ベーコンスライス 4枚

マッシュルーム 4個

バター 5g

 

A(スクランブルエッグ)

バター 10g

卵 3個

牛乳 大さじ2

塩 少々

白こしょう 少々

 

クロワッサン 2個

りんご 1/2個

 

コーヒー

 

<作り方>

① マッシュルームを4等分に切る。

② フライパンでバターを温め、弱火でベーコンとマッシュルームを焼きはじめる。

③ スクランブルエッグ用のバターを角切りにする。

④ ボウルに<A>を入れて、よく混ぜる。

⑤ ②が焼けたら端に寄せて、④を流し入れてスクランブルエッグを作る。

⑥ クロワッサン、りんごと一緒に器に盛り付ける。

 

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<お知らせ>

昨今は自宅で過ごす日も多いと思いますので、『note』で毎日レシピを公開しています。日々のごはんにお役立ていただければと思います。

「Reizoko ni ALMONDE-冷蔵庫にあるもんで-」

https://note.com/andrecipe1102

 

 

山田英季(やまだ・ひですえ)

Profile/料理家。フレンチ、イタリアン、和食などのレストランでシェフを歴任後2015年に〈and recipe〉を立ち上げ、「ごはんと旅は人をつなぐ」をテーマに活動中。著書に『にんじん、たまねぎ、じゃがいもレシピ』(光文社)、『かけ焼きおかず かけて焼くだけ!至極カンタン!アツアツ「オーブン旨レシピ」』(グラフィック社)など。

http://andrecipe.tokyo/

https://www.instagram.com/andrecipe/